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労務のなるほど質問箱・労災保険編

日々の労務管理におけるクエスチョンは、様々です。

このページでは、労災保険についてご紹介します。

災害は、あってはいけません。

しかし、何かあった時には、無くてはならないのが労災保険です。

御社でも、疑問に感じていたものが有るかもしれません。

 

ご参考になれば、幸いです。

『労働時間』に関する質問はこちらをクリック

労災保険に関する質問

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そもそも労災保険って、どの様な保険なのですか。

労災保険は、仕事中や通勤中に負ったケガや病気、死亡に対して給付が行われる保険です。

労災保険とは、

雇用されている立場の人が

仕事中や通勤途中に起きた出来事に起因した

ケガ・病気・障害、あるいは死亡した場合に

保険給付を行う制度です。

 

正しくは、労働者災害補償保険といい、

この名のとおり労働者やその遺族の生活を守るための保険です。

労災と略すこともあります(以下、「労災」とします)。

 

ここでの労働者とは、会社に雇われている正社員だけをいうのではありません。

パートやアルバイトの方々も含みます。

 

そして、ケガや病気を対象とした社会保険といえば、

健康保険を思い浮かべる人もいるかもしれませんが、

労災の対象は、業務上および通勤途上に起因としたもののみが対象となります。


大きな違いは、労災の補償の対象となると、療養の費用の自己負担がない点、

また、休業時の手当についても健康保険の傷病手当金よりも手厚い補償となっている点です。

 

 尚、労働者を一人でも雇用する会社には、労災加入が義務付けられており、

 労災保険では、その保険料の全額を事業主が負担します。

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労災保険の適用範囲について、教えてください。

仕事中に発生したものを業務災害と言います。そして、
通勤途中に発生したものを通勤災害と言い、労災保険はこの二つの災害に適用されます。

私たちが仕事をする場合、

通常は家を出て会社に向かい、

職場で仕事をして、終了すると家に戻ります。

この一連の流れの中で、

会社への行き帰りを通勤。仕事中を業務中と言います。

この間に何かあった場合に備える為の保険が労災保険です。

 

では、通勤や仕事中以外の場合は、どうなるのでしょう。

プライベートで何かあった場合は、健康保険が適用されます。

 

さて、仕事中や通勤途上の災害なら、すべて労災保険として認められるのでしょうか。

実は、それぞれの災害には、認定要件と言うものがあり、

すべてが労災として認められる訳ではありません。

 

では、労災として認められない場合は、どうなるのでしょうか。

実は、労災保険の認定が受けられない場合は、健康保険で対応することに成っています。

 

また、フリーランスの方など、労災保険にも健康保険にも加入していない方の災害は、

国民健康保険で対処します。

但し、国民健康保険には、休業を補填する給付はありません。

 

尚、国民健康保険加入者の内、短時間勤務の労働者など、給与の支給を受ける労働者に付いては、

新型コロナ感染にからむ休業に限り、傷病手当金の対象とする特例が出来ました。

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仕事中のケガなのに、健康保険を使ってしまった時は、どうすれば良いのでしょうか。

受診した病院に、健康保険から労災保険への切替が出来るかどうかを、
確認して下さい。

受診した病院が『労災保険への切替が出来る。』

と言う事でしたら、

労災保険の様式5号または、様式16号の3の請求書を

受診した病院に提出して下さい。

 

あとは、病院の方で処理をしてくれます。

この場合、病院の窓口で支払った一部負担金も返還されます。

 

受診した病院では、『労災保険への切替は出来ない。』

と言う事でしたら、

一時的に、医療費の全額を自己負担した上で、労災保険を請求することになります。

 

この場合の手続きは、以下の通りです。

 

1.まずは、健康保険協会等へ労働災害であった旨申し出てください。

2.保険者から医療費の返還通知書と納付書が届きますので、返還額を支払って下さい。

3.労災保険の様式7号または、様式16号の5を記入のうえ、

  返還額の領収書と病院窓口で支払った一部負担金の領収書を添えて、労基署に請求して下さい。

 

ちなみに、医療費の全額負担が困難な場合は、どうすれば良いのでしょうか。

 

まずは、医療費の全額負担はせずに請求したい旨、労基署へ申し出て下さい。

労基署で保険者と調整を行い、保険者への返還額を確定します。

 

これを受けて、保険者から返還通知書等が届きますので、

労災保険の様式7号または、様式16号の5を記入のうえ、

返還通知書等を添えて、労基署に請求して下さい。

 

尚、病院の窓口で支払った一部負担金については、上記と別の手続きが必要となりますので、

労災保険の様式7号または、様式16号の5をもう一枚記入して労基署に請求して下さい。

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労災が発生した時に、労災保険を請求するのは誰なのですか。

労災保険を請求するのは、災害を受けた労働者本人です。

労災保険では、被災した労働者本人

(労働者が死亡した場合は、その遺族)が請求人です。


ですから、被災に関して労災保険の請求をするかどうかは、

被災した労働者本人等が決めることになります。

従って、労災保険請求手続きは、

労働者本人等が行うことが原則となります。

 

 但し、労災保険法施行規則 第23条に、以下の事が書かれています。

①労働者本人がケガのため、自ら手続きができないときは、事業主は請求手続きを手助けしなければならない。

②労働者から労災の請求手続きに必要な証明を求められたときは、事業主は速やかに証明をしなければならない。

 

以上のことから、労災保険請求は、原則被災労働者等が行うものですが、

会社は、被災労働者等から「労災保険請求をしたい」との意向があった場合には、

必要な証明を行うなど、請求手続きを助力しなれければなりません。


 

 

つまり、会社には、労災保険請求に関して、証明義務と助力義務が課せられているのです。

そのため、実務的には、会社が労災保険請求を主導することになります。

 

多くの会社では、

会社が被災労働者に労災保険について説明し、

請求書の記入を補助し、

そして、労働基準監督等へ請求書を提出するなど、

ほとんどの請求手続きを助力しています。

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労働基準法と労働者災害補償保険法の関係は、どの様なものなのでしょうか。

労災保険には労基法に於ける災害補償の代行と言う側面と、社会補償の側面があります。

労働基準法の第8章(災害補償)には、

「使用者の災害補償責任」が規定されています。

 

労働基準法では、業務上の災害が発生したときは、

使用者に故意または、過失がなくても、労働者に対して、

療養補償、休業補償、打切補償、障害補償、遺族補償、葬祭料

と言う災害補償をしなくてはならいないと定めています。


この労働基準法に規定されている災害補償責任は、使用者による「個別」責任ということができます。

しかし、使用者による災害補償は、使用者の経済事情によって確実に履行されない恐れがあります。


そのため、労災保険法は、

使用者による災害補償責任の履行を確実とするため、労働基準法と同じ昭和22年に制定されました。

労災保険法は、政府を保険者、使用者を加入者、

そして使用者に雇用される労働者を被保険者とする強制加入の公営保険で、

「個別」の災害補償を全事業主が「共同」で履行することを目的にしています。

 

つまり、労災保険には、

全事業主が共同で、労働基準法による使用者の個別責任を代行しているという役割があるのです。

 

労働基準法第84条に

「労働基準法で規定している災害補償について、労災保険法に基づいた給付が行われるときは、

 使用者は災害補償責任を免れる」と規定されています。


この規定によっても、労災保険法が労働基準法による災害補償責任を代行していることがわかります。

 

労災保険法が施行された昭和22年当時、

労災保険法による災害補償の役割は、労働基準法の災害補償の代行だけでした。


その後、労災保険制度は独自に発展し、

労働基準法に於ける災害補償の水準を大きく超えていきます。

  • 昭和35年 労災年金制度新設
  • 昭和40年 本格的年金制度導入
  • 昭和44年 段階的な労災保険適用拡大化(昭和50年 ほぼ全面適用)
  • 昭和45年 年金額などの引き上げ
  • 昭和48年 通勤災害制度の新設
  • 昭和49年 特別支給金の新設
  • 昭和51年 労働福祉事業の拡充(未払賃金立替払事業の導入など)
  • 昭和55年 民事損害賠償と労災保険給付との調整規定の新設
  • 昭和61年 年金の給付基礎日額に関する最低限度額 最高限度額の導入
  • 平成2年 スライド制の改善
  • 平成7年 介護(補償)給付の創設
  • 平成12年 二次健康診断給付の創設・・・

以上のように労災保険制度が充実することによって、

労災保険による補償は、労働基準法の災害補償水準を大きく超えていきます。

 

これに伴い、労災保険の役割も、労働基準法の災害補償の代行に加えて、

社会保障的性質が大きくなっていきました。

 

そして、現在、労働災害における補償は、労災保険が中心となっています。

実務上、労働基準法による使用者の災害補償責任を意識するのは、

休業補償給付が支給されない待期期間(3日間)ぐらいではないでしょうか。

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労災保険には、特有の特徴があると聞きました。どの様なことでしょうか。

労災保険では、①給付されるかされないか。②被災者の過失は問わない。
③事業主の過失は給付額に影響しないという特徴があります。

労災保険における最大の関心事は、

その事案が労災認定されるかどうか、

つまりその事案が支給決定されて

労災保険の給付を受けることができるかどうかです。

 

事案によっては、労災請求後、労災認定されるまで

非常に時間がかかる場合があります。

しかし、一旦労災認定(支給決定)されれば、労災保険から100%の給付が受けられます。

逆に、労災不認定(不支給決定)の場合は、給付は全くのゼロです。

 

労働基準監督署は、認定基準などに基づいて事案を調査し労災認定かどうかを決めますが、

認定基準の要件がちょっと足りない事案に対して

通常の労災保険給付額の50%だけ給付する」なんてことはありません。

要件がちょっとでも足りなければ、

全然要件が足りない事案と同じく労災不認定(不支給決定)となり、給付額はゼロとなります。

  

つまり、労災保険は、100%給付されるか、まったくのゼロかの2択なのです。

 

 

次に、労災保険の業務上の災害「使用者の無過失補償責任」を基盤としているため、

災害に業務起因性と業務遂行性があれば、

たとえ労働者の不注意が原因で労災事故が発生したとしても、

被災労働者へ労災保険の給付が100%行われます。

被災労働者に100%の給付が行われないのは、支給制限が行われるときだけ。

 

労災保険では、民事の損害賠償や自動車保険の補償のように

被災労働者自身の過失に応じて過失相殺が行われる、ということはありません。

つまり、労災保険では、被災労働者に支給制限が行われるようなよっぽどの行為がない限り、

たとえ被災労働者が自身の過失でケガをしたとしても、100%の給付を受けることができるのです。

 

 

更に、労災保険では、会社の過失・無過失は、被災労働者への給付額に一切影響しません。

 

そのため、たとえ、労災事故に関して会社に過失がなかった、

つまり、被災労働者が自身の過失でケガをしたとしても、

労災保険から給付額の100%が支給されます。

 

逆に、労災事故に関して会社に故意又は重大な過失等があった場合も

被災労働者には労災保険から給付額の100%が支給されます。
 

例えば、労働保険に加入していない会社で働く労働者が仕事中にケガをしたときでも、

ケガをした労働者本人へは、労災保険から100%の給付が行われます。

 

まり、労災保険は、健康保険 厚生年金保険 自動車保険 その他損害賠償保険などと違い、

被災当時の労働保険の加入/未加入に関係なく、給付事由があれば労災保険給付が行われるのです。
 

 

但し、労働保険の加入/未加入が関係ないのは、あくまでも「労働者」への給付に関しての話。

「事業主」に対しては、対応が全く異なります。

 

労働保険の未加入中に労災事故等が発生し、

労働保険の未加入が事業主の故意/重大な過失に該当すると労働局に認定された場合、

「事業主」には「労災保険給付に要した費用徴収」と

「労働保険の遡及加入に伴う労働保険料・追徴金の徴収」というペナルティが課せられます。

 

また、事業主の故意/重大な過失によって労災事故を発生させたときや

労働保険料滞納期間中に労災事故等が発生した場合にも

労災保険給付に要した費用の徴収」というペナルティが事業主に課せられます。

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労災が発生した時の給付手続きのほかに、死傷病報告が必要なことをご存知ですか。

労災事故により労働者が休業したり死亡した時は、
事業主は、所轄の労基署に死傷病報告を提出しなければなりません。

仕事中の負傷・窒息・急性中毒等により

労働者が休業したり死亡したときは、

事業主は、所轄の労働基準監督署に労働者死傷病報告を

提出しなければなりません。

 

労働者死傷病報告は、

労働安全衛生法・労働安全衛生規則により義務付けられた行政への事故報告といえます。

 

労働者が、事業場内・敷地内・事業場に付属する建築物内で負傷等したため休業/死亡したときには、

仕事中の負傷等でなくても労働者死傷病報告を提出します。

 

ちなみに、労働者死傷病報告は、労働者の休業の程度により様式が2種類(様式第23号、様式第24号)あり、

労働者が4日以上休業したとき及び死亡したときには、様式23号を遅滞なく

労働者の休業が4日未満(1~3日)のときには、

4日未満の労災事故を3ヶ月分取りまとめた 様式24号を期限までにを提出します。

 

労働者死傷病報告は、提出要件に該当する場合、必ず提出しなければなりません。


そのため、労災保険の請求のための書類を労働基準監督署に提出済みでも、

労災保険の書類とは別に、労働者死傷病報告を提出します。

 

たとえ労災保険の請求をしない場合でも、提出要件に該当する場合、労働者死傷病報告の提出は必須です。

 

例えば交通事故の場合、自動車保険から補償すべてを受けたため、

労災保険に補償の請求をしないことがありますが、

この場合でも、仕事中の交通事故により労働者が休業したときは、労働者死傷病報告を提出しなければなりません。

 

つまり、労災保険を使う使わないにかかわらず、

労働者が仕事中の災害等によって休業・死亡したときは、

事業主は労働者死傷病報告を提出しなければならない点にご注意ください。

 

但し、労働者死傷病報告は、

仕事中の災害であっても、社長など負傷等をしたのが労働者でない場合や、

労働者が仕事を休まなかった場合(不休災害)には提出する必要がありません。

 

また、通勤途上の災害は労災保険の対象となりますが、

仕事中の災害でないため労働者死傷病報告は提出する必要がありません。

 

ちなみに、仕事中に事故が発生し労働者が休業したのにもかかわらず、

労働者死傷病報告を故意に提出しなかったり、虚偽の内容で提出することは、

「労災かくし」といい、犯罪となります。


労災かくしが発覚すれば、労働安全衛生法違反により書類送検され、

50万円以下の罰金(両罰規定)に処せられることがあります。

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労災保険の給付には、どの様なものがあるのでしょうか。

実は労災保険の給付には、様々なものがあります。

労災保険の給付には、

主なものでも以下の様なものがあります。

 

1.療養(補償)給付

  ①療養の給付

  :業務災害または通勤災害による傷病について、

   労災病院または労災指定医療機関等で療養する場合

  ②療養の費用の支給

  :業務災害または通勤災害による傷病について、

   労災病院または労災指定医療機関以外の医療機関等で療養する場合

2.休業(補償)給付

  :業務災害または通勤災害による傷病に係る療養のため労働することができず、

   貸金を受けられない日が4日以上に及ぶ場合 

1年6カ月しても治癒しないとき⇒傷病補償年金へ

3.障害(補償)給付

  ①障害(補償)年金

  :業務災害または通勤災害による傷病が治ったときに、

   障害等級第1級から第7級までに該当する障害が残った場合

  ②障害(補償)一時金

  :業務災害または通勤災害による傷病が治ったときに、

   障害等級第8級から第14級までに該当する障害が残った場合

4.遺族(補償)給付

  ①遺族(補償)年金

  :業務災害または通勤災害により死亡した場合

  (法律上死亡とみなされる場合、死亡と推定される場合を含む。)

  ②遺族(補償)一時金

 :遺族(補償)年金を受け取る遺族がいない場合

  :遺族(補償)年金の受給者が失権し、他に遺族(補償)年金を受けることができる遺族がない場合で、

   すでに支給された年金の合計が給付基礎日額の1000日分に満たないとき

5.葬祭料(葬祭給付)

  :業務災害または通勤災害により死亡した者の葬祭を行う場合

6.傷病(補償)年金

  :業務災害または通勤災害による傷病が、

1年6ケ月を経過した日、又は同日以後において治っておらず、

   傷病による障害の程度が傷病等級に該当する場合

7.介護(補償)給付

障害(補償)年金または傷病(補償)年金の受給者で、介護を要する場合

8.二次健康診断等給付

  :事業主の行う健康診断等のうち直近のもの(一次健康診断及び特定保健指導の給付一次健康診断)において、

   次のいずれにも該当する場合

   ア、検査を受けた労働者が、血圧検査、血中脂質検査、血糖検査、BMI(肥満度)の測定

     一次健康診断等給付の全ての検査において異常の所見があると診断されていること

   イ、脳血管疾患または心臓疾患の症状を有していないと認められること

 

ちなみに、請求書の提出先ですが、

療養の給付は、労災指定医療機関等を経て所轄労働基準監督署長

二次健康診断等給付は、健診給付医療機関を経由して所轄都道府県労働局長

その他の給付は、所轄労働基準監督署長となっています。

 

又、(補償)とあるのは、業務災害に対する給付であることを表しています。

例えば、療養補償給付と言うと業務災害に対する給付、

療養給付と言うと通勤災害に対する給付を表します。

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通勤中の災害と業務中の災害では、労災保険の取り扱いに何か違いがあるのでしょうか。

労災保険の給付内容については、ほとんど変わりはありませんが、
法律の主旨から見て幾つかの違いが有ります。

「業務災害」と「通勤災害」のどちらの場合においても、

労災保険から支給される給付内容はほとんど変わりません。


しかし、事業主の責任や負担義務等については、

法律の趣旨から見て異なる点がいくつかあります。

 

例えばケガなどの治療費に関わる給付であれば、

「業務災害」の場合は「療養補償給付」と呼ばれていますが、

「通勤災害」の場合は「療養給付」と呼ばれており、

名称だけでなく支給申請を行う用紙の様式も異なっています。

 

この違いの理由は、「業務災害」と「通勤災害」の根本的な性格が異なっているからです。

 

「業務災害」は業務とケガ等の間に一定の因果関係があり、

事業主の指揮命令下において業務を行っている際に起きた災害が対象となっているため、

労働基準法においては事業主の災害補償が義務づけられています。

 

「通勤災害」は一種の社会的危険による災害で、

事業主の個別責任を問えるものではなく、

労働基準法上は事業主の災害補償責任が義務づけられていません。

 

そのため、業務災害の給付の場合は「補償」という文字が使われています。

 

又、業務災害の場合は休業補償給付を受けるまでの待期期間中の休業補償を会社が行わなければなりませんが、

通勤災害の場合は行う必要がありません。


その他、業務災害は療養のための休業期間とその後30日間は解雇制限がありますが、

通勤災害には解雇制限が設けられていません。

 

尚、業務災害の場合、

原則として死傷病報告書を管轄の労働基準監督署に提出しなければなりません。

一方、通勤災害の場合は、必要ありません。


このように手続き上の違いがありますので、間違えないようにご注意下さい。

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労災保険の改正が行われたと聞きました。どの様な改正なのでしょうか。

複数事業労働者への給付(複数業務要因災害)が新設されました。

労働者災害補償保険法が改正(2020年9月1日施行)され、

兼業や副業など複数の会社で働いている労働者の方が

労働災害にあわれたときに、

働いているすべての会社の賃金額をもとに

保険給付が行われる可能性が認められました。

 

法改正前は、複数の会社で働いている労働者の方に、

例えば精神障害が発症した場合、各会社での業務上の負荷(労働時間やストレスなど)を個別に評価し、

いずれかが一定の基準を満たさなければ労災認定されませんでした。

 

法改正後は、業務上の負荷(労働時間やストレスなど)を働いている個別会社ごとでなく、

総合的に評価し、一定の基準を満たせば労災認定されるようになりました。

労災認定された場合、働いている複数の会社の賃金額を合算して、保険給付が行われるようになります。

 

今回の法改正で、

改正前には労災認定の対象とならなかった重い障害の方が労災認定され救済される可能性があります。

さらに、労災認定された場合、

災害発生の要因となったすべての会社の賃金額を合算して保険給付がなされますので、

二重の救済になるといえます。

 

今回の法改正に伴い、請求書式も変更されました。

業務災害と複数業務要因災害は同時に請求できる書式になっています。

請求先は、働いている会社を管轄する労働基準監督署が複数ある場合でも、

いずれか1つの労働基準監督署に提出すれば大丈夫とされています。

 

また、複数の会社で働いている労働者(「複数事業労働者」)とは、以下の方を言います。

・被災した時点で、事業主が同一でない複数の事業場と労働契約関係にある労働者の方

・被災した時点で、1つの会社と労働契約関係にあり、他の就業について特別加入している方

・被災した時点で、複数の就業について特別加入している方

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ボーナスは労災の支給額に加味されるのでしょうか。

ボーナスは、特別支給金の一部に反映されます。

労災保険には本体給付と特別支給金があります。

 

ボーナス(賞与)などの三ヶ月を超える期間ごとに

支払われる賃金は、本体給付には反映されませんが、

特別支給金の一部に反映されます。

 

ボーナスが反映されるのは、

特別支給金のうち、障害特別年金・障害特別一時金・遺族特別年金・遺族特別一時金・傷病特別年金です。

 

ただし、特別加入者にはボーナス特別支給金は支給されません。


では、どのような賃金が「ボーナス特別支給金」に反映されるのでしょうか。



3ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金が反映されます。

いわゆるボーナス(賞与)のほか、例えば、6ヶ月ごとに支払われる勤勉手当や

支給額が直前6ヶ月の売り上げにより一律決められている販売奨励金などが挙げられます。


一方、4月から9月まで6ヶ月の期間にわたって支払われる通勤手当は、

それが4月に一括支給されても、それが6ヶ月定期券を購入する便宜のためであれば、

毎月分の前渡しと認められますから、特別支給金ではなく本体給付に反映されます。
 

 

つまり、特別支給金に反映されるかどうかは、

賃金の計算期間が3ヶ月を超えるか否かによって判断されます。

 

単に支払い事務などの便宜のために3ヶ月を超える期間ごとに一括して支払われるようなものは

特別支給金ではなく本体給付に反映されるのです。


尚、結婚手当、出産手当などの臨時に支払われた賃金は、本体給付、特別支給金のどちらにも反映されません。

 

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障害(補償)年金や遺族(補償)年金などの労災年金と
厚生年金の両方を受け取ることはできるのでしょうか

厚生年金は全額受け取れますが、労災年金は調製される為、全額を受け等る事は出来ません

例えば、障害厚生年金と障害補償年金を受け取る場合、

労災年金の額は減額調整され支給されることになっています。

しかし、

障害厚生年金はそのまま全額支給されることになります。

 


ただし、この減額に当たっては、調整された労災年金の額と

厚生年金の額の合計が、調整前の労災年金の額より低くならないように考慮されています。


これは、両制度からの年金が未調整のまま支給されますと、

受け取る年金額の合計が、被災前に支給されていた賃金よりも高額になってしまうからです。

 

また、保険料負担について、厚生年金保険は被保険者と事業主とが折半で負担しています。

一方、労災保険は事業主が全額負担していることから、事業主の二重負担の問題が生じてしまうためです。

 

(労災年金と厚生年金等の調整率)

労災年金障害補償年金
障害年金
遺族補償年金
遺族年金 
社会保険の種類 併給される年金給付
厚生年金及び国民年金障害厚生年金及び障害基礎年金    0.73          -
遺族厚生年金及び遺族基礎年金    -   0.80 
厚生年金 障害厚生年金   0.83    -
遺族厚生年金    -   0.84
国民年金障害基礎年金   0.88    -
遺族基礎年金    -   0.88


この表から分かるように、

障害厚生年金を受け取っている人が障害補償年金(労災年金)を受け取る場合、

障害厚生年金を全額受け取ることができますが、

労災年金は0.83の調整率がかけられ全額を受け取ることはできません。

 

しかし、障害厚生年金を受け取っている人が遺族補償年金(労災年金)を受け取る場合、調整は行われません。

従って、厚生年金・労災年金ともに全額受け取れます。

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労災保険には、特別加入制度があると聞きました。どのようなものなのでしょうか。

特別加入制度とは、労働者以外の方のうち、労働者に準じて保護する事がふさわしいと
みなされる方に一定の要件のもと労災加入を認めるものです。

特別加入制度とは、労働者以外の方のうち、

業務の実態や、災害の発生状況からみて、

労働者に準じて保護することがふさわしいと見なされる人に、

一定の要件の下に労災保険に特別に加入することを

認めている制度です。

 

特別加入できる方の範囲は、

中小事業主等・一人親方等・特定作業従事者・海外派遣者の4種に大別されます。

 

労災保険は、日本国内で労働者として事業主に雇用され賃金を受けている方を対象としています。

そのため、事業主・自営業主・家族従業者など労働者以外の方は労災保険の対象にならず、

業務により負傷した場合などでも労災保険給付を受けることは出来ません。

 

しかし、例えば中小事業の場合、事業主は労働者とともに労働者と同様の業務に従事する場合が多いこと、

また、建設の事業などの自営業者は、いわゆる一人親方として、労働者を雇わずに自分自身で業務に従事するため、

これらの方の業務の実態は労働者と変わらないことから、労働者に準じて保護することを目的としています。

 

また、労災保険法の適用については、法律の一般原則として属地主義がとられていますので、

海外の事業場に所属し、その事業場の指揮命令に従って業務を行う海外派遣者に関しては、

日本の労災保険法の適用はありません。

 

しかし、諸外国の中には、労災補償制度が整備されていなかったり、

仮にこうした労災補償制度があったとしても、日本の労災保険給付の水準より低く、

また、給付内容がまちまちで、日本国内で労災を被った場合には

当然受けられるような保険給付が受けられないことがありますので、

海外での労災に対する補償対策として設けられています。

 

 

なお、家族従事者は、事業主と同居及び生計を一にするものであり、

原則として労働基準法上の労働者には該当しません。

 

しかし、事業主が同居の親族以外の労働者を使用し、業務を行う際に、

事業主の指揮命令に従っていることが明確であること、

また、就労形態が当該事業場の他の労働者と同様であれば、

家族従事者であっても労働者として見なされる場合があります。

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労災保険の特別加入をする場合、事前に健康診断を受けなければならないのでしょうか。

特別加入希望者のうち一定の方に付いては、
加入時の健康状態を確認する為、義務付けられています。

特別加入時の健康診断は、

労災保険に特別加入する前の業務が原因となって発生した

疾病について保険給付を行う。

 

といった不合理が生じないよう

 

特別加入希望者のうち一定の者について

健康診断の受診を義務づけ、特別加入時の健康状態を確認し、保険給付を適正に行うことを目的とするものです。


この特別加入時の健康診断を必要とする者は、

中小事業主等、一人親方等及び特定作業従事者として特別加入し、

次の表に掲げる業務を行う予定の者であって、

特別加入前に通算してそれぞれの業務に応ずる従事期間を越えて当該業務に従事していた者が該当します。

 

 

特別加入予定の業務の種類

特別加入前に左記の 業務に従事した期間

粉じん作業を行う業務(じん肺法施行規則別表に定める作業)

    3 年

振動工具を用いて行う業務(振動工具の例・さく岩機、鋲打ち機、チェーンソー、  チッピングハンマー、コンクリートブレーカー、ブッシュクリーナー等)

    1 年

鉛又は鉛化合物を用いて行う業務                       (鉛化合物の例・酸化鉛、水酸化鉛、塩化鉛、炭酸鉛、珪酸鉛等)

    6カ月

有機溶剤又は有機溶剤含有物を用いて行う業務(有機溶剤の例・アセトン、     エチルエーテル、キシレン、クレゾール、クロロベンゼン、クロロホルム等)

    6カ月

 

 

なお、その他職場適応訓練従事者、事業主団体等委託訓練従事者等及び海外派遣者については、

加入時健康診断は必要ありません

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